日本童謡学会

日本童謡学会名誉総裁 寛仁親王妃信子殿下 Message 日本童謡学会理事長 海沼 実 Message

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   戦後の歌謡史は「リンゴ」と「みかん」から始まったと称される時代、その活動の先頭にいたのは「みかんの花咲く丘」「里の秋」等の代表作で知られる、我が祖父・海沼實でした。
赤い鳥童謡運動の継承者であった祖父は、ラジオやレコードを通じ、自他の作品を余すところなく世に送り出しました。そして「童謡」は、母から子へと歌い継がれる、国民的な愛唱歌となっていきました。
 ところが昭和30年代になると、こうした作品を「レコード童謡」と揶揄し、排斥を企てる営利目的の音楽家たちが台頭を始めます。童謡への云われなきバッシングを重く受け止めた祖父は、
文学性の高い「童謡」への原点回帰を計り、詩人のサトウハチローや加藤省吾らと日本童謡協会を設立。
 しかし、数年後に祖父が他界すると、この組織の運営も進路変更され、結果的に「童謡」は今日の衰退に至りました。こうした時代背景の中で、私は、祖父が遺した児童合唱団「音羽ゆりかご会」を率い、赤い鳥童謡運動の灯を大切に継承して参りました。
 今般、寬仁親王妃信子殿下のお力添えを賜り、日本童謡学会として「童謡」の再興、継承運動が動き出しましたが、この機を逃せば近い将来、日本が誇る児童文化は間違いなく消滅してしまいます。
 私は、この諸先輩から受け継いだ文化的遺産を次世代に生きる子どもたちに広く普及し、正しく活用していきたいと考えています。
 私どもの目指す童謡運動に、皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。